© 家読推進プロジェクト
                                                  UCHIDOKU Project
 

カウンタ

1972913

2021/01/02

世界で1冊の手づくり絵本で「家読」をした子どもたち

| by:ts
 福島県棚倉町立棚倉小学校4年生62人の手づくり絵本が、令和2年12月12日に行われた矢祭町主催「第12回矢祭もったいない図書館手づくり絵本コンクール」表彰式で矢祭町長特別賞を受賞した。
 同コンクールの創設は、全国から善意で寄贈された45万冊を所蔵して平成19年1月に「矢祭もったい図書館」が開館したことで、同図書館活動の文化性を象徴する事業を模索し、文部科学省の公募企画「平成21年度子ども読書の街づくり推進事業」に応募する事業計画書に記載した一つの事業企画であった。同事業計画書には「手づくり絵本コンクール」と共に「子ども司書制度」も盛り込まれ、現在全国約300もの公立図書館で実施されている「子ども司書養成講座」の発祥地は、この矢祭町になる。
 話を棚倉小学校の4年生たちが「手づくり絵本」製作に取り組んだ件に戻すことにする。棚倉小学校ので図工を指導するK先生は、図工の教科書の題材に「山」を舞台にした物語を描くという指導があり、「せっかく物語を描くのなら、1枚に仕上げるのではなく、国語で習った『起承転結』を生かして絵本にしてみたい」とひそかに思った。その理由には、「二分の一成人式の思い出になるように」という願いの心つもりが動機になって、それだけ記念になる「絵本」なら保護者と地域の人たちも巻き込んで製本の協力をお願いしようという、なんと豊かな感性と行動力をもった先生であろう
か。製作に取り組んだ子どもたちは「お母さんと本を仕上げたり、家の人から『いい話だね』って、ほめられたり、とてもうれしかった。」自分一人では完成できなかったかもしれないけど、地域の人に製本を教えてもらって、自分で思っていた以上によいものができてよかった」と良い経験になったようだ。
 出来上がった作品を家に持ち帰り、世界で1冊しかない絵本を家族みんなで「家読」したことで、保護者からは「子どもが考えたストーリーは、実際、わが家でしている誕生日会の内容だったので、喜んでくれていたんだと、あらためて感じました」「出来上がった本を、妹に読み聞かせしていた。妹が喜ぶ絵本を作ろうと、最初から考えて作っていたことを、本人から聞いてとてもうれしくなった」と感想が寄せられ、手づくり絵本での「家読」で、親と子のコミュニケーションがさらに深まったようだ。
 K先生はこの62人の生徒の「手づくり絵本」を、第12回矢祭もったいない図書館手づくり絵本コンクール」に応募し、見事に矢祭町長賞を受賞することになった。手づくり絵本製作にチャレンジした子どもたちには、二分の一成人式の記念としてそれぞれの人生のよき思い出になるのものと思うとともに、生きた教育というのはこのような指導にあるのではないだろうかと感じさせられた。
22:22