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カウンタ

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2016/02/12

東日本大震災復興の絵本『なみだは あふれるままに』

| by:ts
 今年は東日本大震災5年目の節目になる。これまで震災復興への希望、勇気、そして人々の心の癒しとして関連絵本が出版されてきた。これまで私なりに震災復興三部作と位置付けて紹介してきた絵本に『ハナミズキのみち』(文・淺沼ミキ子/絵・黒井健/金の星社)、『かぜのでんわ』(作絵・いもとようこ/金の星社)、『希望の木』(新井満・文/山本二三・絵/東京法令出版)である。この三作品は陸前高田市・大槌町・陸前高田市と岩手県に関連する絵本である。

 2月24日にPHP研究所から発売になる『なみだは あふれるままに』(内田麟太郎・文/神田瑞季・絵/定価:本体1,300円・税別)は津波で町の中心部の8割が瓦礫と化し、人口の約1割の町民が尊い命を失われた宮城県女川町が舞台になる。

 当時町の中学校に通う神田瑞季さんは、大津波で大好きだったおじいちゃんと多くのともだちを失いました。押し寄せる津波を見続けた少女はその惨事をどう受け止めておられたのであろうか。瑞季さんのその時の思いが、震災後まもなく1枚の復興絵はがき「生きる」に描かれることになる。5人の子どもたちが廃墟となった町の姿をみつめている。後ろ姿で手を繋ぎ、ヘルメットをかぶり、スコップを背負っていることから、その絵は復興への希望を感じさえるもの以外に言いようがない。

 後年、瑞季さんは絵本作家内田麟太郎さんとの対談で、「そこに、そのときの私の思いがすべて反映されていたと思います」と述懐する。内田さんにとっても、「あの絵が問いかけたもの・・・それがきっかけで、今回の絵本の話が進んだ」と語られている。

 東日本大震災でどれほど多くの人々が大切なものを失ったか、そしてその悲しみを乗り越えて復興への希望に立ち向かう人たちのことを、この絵本で語り合っていただきたい。

 FMゆーとぴあ「小さな朗読コンサート」2月29日(月)午後12時30分から内田麟太郎さんと神田瑞季さんの『なみだは あふれるままに』についてのインタビューを放送。
 番組へのアクセスは  http://www.simulradio.jp
 
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