令和2年2月27日、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、安倍晋三首相は全国小中高の一斉休校を要請、ほとんどの学校が3月2日から休校になった。突然の休校要請に学校側は児童・生徒らに家庭での過ごし方について何らカリキュラムも指導方法も手につかなかったことが現状ではなかったであろうか。
学校から突き放されて自宅で過ごすことになった子どもたちは、毎日をどう過ごせばいいのか戸惑っているに違いない。保護者や子どもたちで1日のタイムスケジュールをつくらねばならない。ドリルで自習したり、気分転換に読書をしたり、家事を手伝ったり、それぞれの家庭ごとに1日の過ごし方は違うことになる。そこで時間を持て余した子どもたちが、スマホやゲーム漬けにならないかという心配の度合いは大きい。年齢層の低いほどゲームの脳への障害や悪影響は大きいとこれまで専門家は警鐘をならしてきた。そういう子どもたちの環境をすこしでも良い方向へ導くために、「読書のすすめ」は一つの子どもへの対策になるのではないだろうか。
北海道は新型コロナウイルス拡大防止で知事が非常事態宣言を表明した。週末の外出自粛要請もされて、子どもたちにはさらに窮屈な日常を強いられることになる。そのために生活リズムが変わり、不安やストレスも抱えることになる。そんな状況を克服しようと知恵を出して取り組んでいる事業が今注目されている。
目梨郡羅臼町教育委員会は、自宅待機中の子どもたちに「こんな時こそ 君たちの心と体を守りたい」キャンペーンを令和2年3月3日から取り組んでいる。町の名称の頭文字にちなみ「ライン(SNS)やゲームは時間を決めて ほどほどに」「運動で体力をつけて 肥満予防」「好きなものだけ食べないで バランス栄養 健康な体づくり」をコンセプトに、「お家でできる簡単運動」、おてつだいで親子のコミュニケーション」、「サム先生とEnglishレッスン」などの提案と、家で本が読めるように無料で「図書宅配サービス」も行われている。これは0歳児から18歳までを対象に20冊まで1か月間借りることができる。図書は梱包され、放送される前と返却後にアルコール消毒することで感染予防対策になっている。
同町公民館図書室ではこの「図書無料宅配サービス」に連動して、「家族でチャレンジ!読書登山(どくしょとざん)」活動も展開している。「読書登山」には、読んだ本の「記録ノート」も付いていて、休校期間にどのような本を読んだか、その記録帳としても貴重なものになるであろう。
学校の一斉休校と同時に3月末まで休館告知をしている公共図書館は多い。地域の子どもたちの健全な日常を送ることへの支援として、羅臼町のように知恵を働かして、子どもたちが本を読める環境づくりを学校図書館・公共図書館と行政も研究検討してみる価値はありそうだ。
羅臼町教育委員会「こんな時だからこそ 君たちの心と体を守りたい」チラシ.pdf 羅臼町公民館図書室「家族でチャレンジ! 家族で読書登山」リーフレット.pdf この羅臼町の「図書宅配サービス」事業を紹介した後に、3月5日から北海道根室市図書館も臨時休校中の児童・生徒及び乳幼児の読書環境を整えるために「根室市図書館子ども向け宅配サービス」事業を始めた。同館のHPで読みたい本を探して電話やFAXで申し込んで、1人10冊まで借りられる。どんな本をよんでよいのかわからない子どもや保護者には図書館の職員が「おすすめの本」を紹介してくれる。同事業の詳細は下記ご参照を。
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