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お知らせ
 平成21年度文部科学省委託研究で広島大学と琉球大学が共同でおこなった「学力調査を活用した専
門的な課題分析に関する調査研究」の研究成果報告書(平成22年3月)から、小中学校の学力に関す
る部分を抜粋しています。
 小学校や中学校で、学力向上や読書活動推進に取り組まれている方々は是非参考にされてください。
読書や生活習慣が学力向上に大きく影響している事、また「朝読」「家読」が学力向上に大きな効果を持
つことなどが立証されています。

研究の目的
 本委託研究の目的は、全国学力・学習状況調査の目的の第一項「各地域における児童生徒の学
力や学習状況を含め細かく把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証」
することに寄与しようとするものである。
 本研究は、国と都道府県による学力調査データを統合した大規校なパネルデータを作成し分析
する点、斬新な分析技術を使用する点で、我が国の学力研究に新しい局面を開拓するものである。
地域固有の学力の影響要因を明らかにし、学校での教科の指導に示唆を与えうる研究を行うこと
により、地方自治体・学校における教育に貢献したい。

研究の枠組みと方法
 本研究の特徴は、平成21年度全国学力・学習状況調査と、それ以前の年度に沖縄県および広島
県が独自に実施した学力調査のデータを学校単位または児童生徒単位で連結したパネルデータを
作成し、分析することにある。同一の児童生徒(あるいは同一の学校)について、異時点間の学
力やその影響要因のデータを分析することにより、学校での指導法や家庭での学習や生活が現在
の学力に及ぼす影響をより正確に把握することが可能となる。

*以上P1より抜粋


小学校の分析結果
児童の学校や家庭での学習と生活の状況は、学力と密接な関係がある。

<家庭での生活習慣>
①「朝食を毎日食べる」「学校に持って行くものを、前日か、その日の朝に確かめる」ほど、学力が高く
なっている。
②「普段、テレビゲーム」をあまりせず、「インターネット」をよくする(国語A、Bのみ)子ほど学力が高い。
③「学校の授業時間以外に、普段、勉強をしている」子、「家で学校の宿題」をよくする子ほど、学力が高い。
④「読書が好き」で昼休みや休日に「学校図書館・室や地域の図書館」に行く子ほど、学力が高い。
⑤「授業でノートを丁寧に書いている」子は国語の学力が高い。
 ・・・家庭で規則的な日常生活を送り、授業に熟心にとりくみ、実際に家庭で学習をする子はそれだけ
学力が高くなっている。


<学校での指導>
①「発言や活動の時間を確保している」学校の子ほど学力が高く、実際に「普段の授業で自分の考えを
発表する機会を与えられている」子ほど学力が高い。
②「土曜日を活用した補完的な学習」をしている学校ほど学力が高くなっている。
③児童が「礼儀正しい」学校の子ほど学力が高くなっている。
  ・・・学校の秩序や生徒指導が関係している。

*以上P46~P47より「生活習慣」「学校での指導」に関する部分を抜粋

中学校の分析結果
<家庭や学校での生活習慣>
①小学校で大きな影響を与えていた「朝食を毎日食べる」と「学校に持って行くものを、前日か、その目の
朝に確かめる」は、中学校では有意な影響を与えていないことが注目される。
②小学校と同様、「普段、テレビゲーム」をあまりせず、「インターネット」をよくする子は学力が高い傾向
にある。
③「学校の規則を守る」子ほど国語と数学の学力が高くなっている。
④小学校と同様、「家で学校の宿題」をよくする子ほど学力が高く、「授業でノートを丁寧に書いている」子
は国語の学力が高い。
⑤中学校では「学校の授業時間以外に、普段、勉強をしている」からといって学力が高いわけではない。
⑥小学校と同様、「読書が好き」で、昼休みや休日に「学校図書館・室や地域の図書館」に行く子ほど国
語と数学の学力が高い。
⑦中学校では「朝の読書など一斉読書の時間」が設けられている学校ほど、数学の学力が高くなっている。
 
<学校での指導>
①小学校と同様、「土曜日を活用した補完的な学習」をしている学校の子は国語と数学の学力が高い傾向
にあり、「普段の授業で自分の考えを発表する機会を与えられている」子ほど、国語と数学の学力が高くなっ
ている。
②中学校では、授業でのコンピュータ活用が学力と深い関係があることが特徴的である。「国語の授業
で、普通
教室でのインターネットを活用した授業」をしている学校の子ほど、国語と数学の学力が高く、「普通教室に
LANが整備されている」学校の子ほど、数学にのみではあるが学力が高くなっている。
③中学校では、「将来就きたい仕事や夢について考えさせる指導をしている」学校ほど、国語と数学の学力
が高い。生徒を励まし、動機づける指導、キャリア教育が重要。
④「個人差に合わせて作成した教材」を用いて数学の習熟度別少人数指導をしている学校ほど、数学の
学力が高い。

*以上P47~P48より「生活習慣」「学校での指導」に関する部分を抜粋

研究組織
代表者
 山崎博敏(広島大学大学院教育学研究科教授)

分担者
 廣瀬 等(琉球大学教育学部教授)
 西本裕輝(琉球大学大学教育センター准教授)
 小山正孝(広島大学大学院教育学研究科教授)
 松浦伸和(広島大学大学院教育学研究科教授)
 松浦拓也(広島大学大学院教育学研究科准教授)
 水野 考(関東学園大学法学部講師)
 宮國義人(沖縄県教育委員会義務教育課主任指導主事)
 田港朝満(沖縄県教育委員会義務教育課指導主事)
 栗原築波(広島県教育委員会教育部指導第一課教育指導監)

事業委託期間
 平成21年11月2日 ~ 平成22年3月31日

平成21年度文部科学省委託研究
 「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」

研究成果報告書
 地方自治体の学力調査と接合したパネルデータを用いた学力の規定要因分析

発行
 2010(平成22)年3月31日

発行者
 山崎 博敏
 〒739-8524 東広島市鏡山一丁目1-1 広島大学大学院教育学研究科
 Tel.082-424-6740