(2007年5月15日更新)
「家読(うちどく)」のすすめ
子どもが一冊の本を図書室から借りてきて、読んだ後、お母さんに手渡し、お母さんが読んだ後、お父さんに回す。読んだ本の感想を一家で語り合う・・・思い浮かべるだけでなんとほほえましい光景ではないでしょうか。
家族ぐるみで好きな本を読んで、読んだ本について話し合う「家読(うちどく)」に伊万里市は市ぐるみで取り組みたいと思います。
いじめ、自殺、不登校など、今の子どもたちを取り巻く問題の一つとして家庭での会話不足が影響しているといわれています。そうした中で、家族のコミュニケーションを図る手段の一つとして注目され始めているのが家読運動です。
「朝の読書(あさどく)」は、今や全国の小、中、高校合わせて約24,000校に普及し、朝の読書習慣によって、子どもたちの心は落ち着き、さらに好奇心や知識欲が育まれるなど、これまで学校現場で多くの成果を上げてきているものと思われます。一方で「冬休みや夏休みなどに子どもたちの読書習慣の糸が切れる」という話も聞かれるところです。
今やパソコン、テレビ、DVDなどの普及により、家庭でも大人が本を読まないために、子どもたちもゲーム三昧になっているのも実情だと思います。
近年、一部の子どもの世界でいじめ問題が深刻化している背景に、子どもたちの心の殺伐化が指摘されていますが、その要因には家族との会話不足があるのではないか、もっと家族間でコミュニケーションを増やし、家族の絆、親子の絆、兄弟の絆を深めたらという意見もあります。
長年「朝の読書」運動に携わってこられた朝の読書推進協議会の佐川二亮(つぐすけ)事務局長が、小学6年生の子ども会議のなかから子どもたちが、(1)家族で同じ本を読もう! (2)読んだ本で話そう! (3)感想ノートを作ろう! (4)自分のペースで読もう! (5)家庭文庫を作ろう! の五つの提言を「家読の約束事」として提案してきたと語られていたのをお聞ききし、きっとこの子どもたちの提言が、日本という美しい国づくりを目指すのに役立つと心強く思ったものです。
家読の効果としては、親の方からも、子どもたちが今どんな本を読んでいるのかわかるし、あるいはもうこんな本を読んでいるのかと驚くこともあるそうです。
何事でも子どもの頃は、全てに基礎づくりが大切です。そういう意味では読書は心の基礎づくりです。親の役目は当然、子どもの基礎を作ってあげることです。モラルや羞恥心を養い、深い洞察力と想像力を鍛錬し、人間に英知を授ける読書、自分達の読んだ本を両親や家族の誰かに読んでもらいたい、そしてお互いその感想を語り合いたいと願うのは、ごく自然の成り行きです。
「家読(うちどく)」が各家庭に万遍なく広がったその時、伊万里市は、あるいは日本はどのようになっていくのか、楽しみであります。
平成19年5月 伊万里市長 塚 部 芳 和
家族ぐるみでの読書。「家読運動」が広がり、家族のコミュニケーションが増えますように。
 「家読(うちどく)」のすすめ_files/191 家族ぐるみでの読書。「家読運動」が広がり、家族のコミュニケーションが増えますように。 家読の進め.jpg)